【食品包装基礎】(3)食品包装用フィルムの種類と機能

食品包装用フィルムの種類と機能 食品包装基礎

 食品包装用のフィルムには、様々な機能があります。それは、食品の品質を保つものであったり、保護するものであったり、目的は多岐に渡ります。【食品包装基礎】(1)包装フィルムの構造ではフィルムの構造を紹介しましたが、ここでは、そのフィルム一層一層の機能について掘り下げていきたいと思います。



フィルムの種類と機能

 食品包装は、中に入れる食品を製造、運搬、保存するなどの目的に応じてフィルムを選定していきます。フィルムは原料となる樹脂や加工工程により様々な特徴が現れ、種類が分けられます。この種類を材質と表現します。食品包装の目的に応じた材質を組み合わせて1枚の高機能フィルムに仕立てていきます。以下では、食品包装で使用される主な種類と機能を一覧にしました。

表記材質名機能・特徴
LLDPE直鎖状低密度ポリエチレン防湿性・耐油性に優れている。
柔軟性があるため、引き裂きにも強く、耐衝撃性も持つ。
軟化温度が80〜90℃のためシール層に使われる。
色は乳白色半透明で、少し白濁している。
ONy二軸延伸ナイロン非常に柔らかいため、耐衝撃性や突き刺し、耐寒性に優れいているが、防湿性がない。
耐熱も比較的高く100〜120℃くらいまで。
透明性は非常に悪い乳白色をしている。
OPP二軸延伸ポリプロピレンコシがあり、LLDPEよりも防湿性に優れる。引っ張り強度には優れているが、硬い分、引き裂きや突き刺し、低温には弱い。
耐熱性は120〜130℃あり、熱による変形に強い。
透明性は非常に良い。
CPP無延伸ポリプロピレンOPPのように延伸していない分、柔らかく、引っ張りや引き裂き強度が強い。耐摩耗性も高い。
耐水性、耐油性にも優れる。
OPP同様耐熱性があり、ヒートシール性(フィルム貼り合わせ時の融着度)が高いため、シール層としても扱いやすい。
透明度はOPPよりも悪く、低温には弱い。
PETポリエチレンテレフタレート防湿性、耐油性、耐熱性、透明性に優れている。
硬く、引っ張りには強いが、その分突き刺しには弱い。
透明性は非常い。
耐熱温度が120〜150℃くらいあり、レトルト食品などで使用される。
ALアルミ箔ガスバリア性、遮光性、防湿性、耐熱性に優れる。
他の樹脂包材と違い、金属検出器に通すと金属として反応するため、この素材を使用する場合は、X線検出器を通すなど金属検出器以外での異物検出を考える必要がある。

上記に示した各耐性や温度などは、組み合わせるフィルムや、そのフィルムのグレードによって精度が変わってきます。


 これらの特性を活かして、内容物に合わせてフィルムが選定されていきます。中身が非常に外界の条件に強いものであれば、最小限のフィルム選定がされますし、殺菌など高度な品質管理を必要とするものについては、より複雑なフィルム選定がされていきます。


材質の表記方法

 包装したい製品に合わせて、先ほどフィルムの機能・特徴を組み合わせて1つの食品包装の袋にします。その袋がどのような機能を持っているかを記号で表したものを材質構成と言いいます。材質構成は、使われている材質とその使用量(厚み)で表されます。例えばレトルトカレーなどに使われるレトルト食品の袋は、以下のような構成になります。

PET12/NY15/AL7/CPP60

 各フィルムをスラッシュ(/)で区切り、それぞれのフィルムの厚みを数字(単位はミクロン(μ))で記載します。一番左が袋の一番外側で、右に行くほど袋の内側になります。このルールに沿って記載しておくことで、製造する袋のグレードを分かりやすく伝えることができたり、中身がどのような機能を必要としているかを示すことができます。

同じレトルト用の袋でも、製品の条件やメーカーの考え方によって、材質や厚みは変わってきます。



まとめ

 今回は、フィルムの機能についてみていきました。簡単にまとめると以下のようになります。

・フィルムは、それぞれ機能を持っている。
・機能を組み合わせることで、一つの食品包装の袋として完成する。
・フィルムの組み合わせは、材質構成として表すことができる。