フィルムには機械的性質があります。機械的性質とは、材料が外力に対してどの程度の耐久性を持つかということですが、フィルムにも様々にそれがあります。ここでは食品包装の視点から、食品を守るために必要な機械的性質を取り上げていきたいと思います。
耐衝撃性
耐衝撃性とは、強い力を外部から与えられた時の耐久度を表します。袋に水や豆をいっぱいに入れて、ある一定の高さから落とした際に破袋するかどうかで調べます。シールがしっかり付いていても、袋が破れるようであれば、輸送時などに問題が起こる可能性があるので、重たいものや液の多いものは特に設計段階で確認しておく必要があります。輸送は思う以上に内容物に負荷がかかっているので、流動性のあるような内容物は特に注意しておいた方が良いでしょう。
耐ピンホール性
食品の包装工程で、袋を挟んだり、突起物に引っかかったり、特定箇所に摩擦が起こるなどした際に、小さな穴が空くことがあります。これをピンホールと言います。ピンホールが空くと、袋の中に空気や細菌が入るため、内容物の品質に影響を与えます。その突き刺しや摩擦に対する耐久性能を耐ピンホール性と言います。
フィルムは複数層でできていますが、ピンホールの原因から内側のフィルムに対策を施すべきか、外側のフィルムに対策を施すべきか決めていきます。骨が突き刺してできたようなピンホールは、内側の材質をより突き刺しに強いものに変更したり、内容物を改良することで改善されます。反対に、袋を引っ掛けたり擦ったりしてできたようなピンホールは、外側の材質や環境を改善する必要が出てきます。
突き刺し強度
先述の耐ピンホール性にも影響してくるもので、一定の強さで突き刺していった時の強度を言います。突き刺し強度が強い(大きい)ほど、穴が空きにくいものとなります。骨のように尖ったものは袋に突き刺さり易いですが、突き刺し強度があると、ある程度穴を空けることを抑えることができます。
引っ張り強度
フィルムを引っ張った時の耐久度を表すもので、一定の幅で切り取ったフィルム片を両端から引っ張りどの程度の力で切れるかで調べます。引っ張り強度は、開封強度に影響してきます。袋に製品を詰めたり、開封する際などに袋が破れてしまってはいけません。どのような機械を使用し、どのような使われ方をするかで、フィルムを選定していきます。
シール強度
フィルムを袋状にするときには封をしたいところに熱を加えて密封していきます。これをシールする(封緘:ふうかん)と言います。熱を加えられたところは、2つのフィルムが熱で溶着されていますが、一定の力で引っ張っていくと溶着されたところや、それよりも外のフィルム層から剥がれたり、シールの端でフィルムが切れたりします。シール強度は、接着されたフィルムがどの程度の外力まで耐えられるかを表したものになります。
シール強度が一定強度出ていないと、袋に内容物を投下しただけでシール面が破れたり、殺菌など外圧がかかっただけで袋が開いたりと、不具合が生じます。シール強度は特に品質に関わってくるため、製袋メーカーでも食品加工会社でも重要視され、製造中に定期的なチェックがされています。
まとめ
フィルムの機械的性質は、袋や内容物に影響を与える外力に対する対策の指標となります。小さなフィルムの傷が大きな品質事故になり得るため、内容物や製造環境に合わせた品質選定が必要になります。