リサイクルを進める上で、今後有効な考え方の一つとなりそうなモノマテリアル。単一の素材でできていることが、リサイクルにどう影響するのかなど、ここではゆるく未来のリサイクル環境を期待を持って考えていきたいと思います。
モノマテリアルとは
モノマテリアルとは、単一を表す「mono」と材料を表す「material」からなる言葉で、意味が示す通り、単一の素材からできた製品を表します。この言葉は、今までの機能性を持たせるためや強度を上げるために、適材適所で素材を設定していた考え方とは真反対の考え方になります。
以前のコラムでも少し説明しましたが、食品などに使用される多くのプラスチックフィルムは、複数の素材で構成されています。この複数の素材が混ざっている状態では、リサイクルを考えた時に、その素材それぞれを分けて再構成させる必要があります。複雑に絡み合った素材を分けるには、相応の工程や時間、エネルギーなどコストを消費することになり、リサイクルの流れの中に組み込むには問題も多く残っています。
そこで考えられているのが、このモノマテリアルという考え方になります。素材が単一でできているので、部品ごとの分解の必要がありません。例えば、そのまま燃焼して溶かしてしまえば、元の1つの素材の原料に戻ってしまいます。一つの工程で元に戻すことができるので、コストの面や技術の面で非常に簡潔に考えることができ、リサイクルの流れの中に組み込みやすくなります。まだまだ途上段階の考え方ですが、今後のリサイクル環境に期待される技術の一つです。
食品包装での導入の考え方
では、食品包装では、このモノマテリアルの素材をどう導入していくと良いでしょうか?食品包装では、ほとんどの袋がシールの役割やバリアの役割など、複数の機能を持っています。その複数の機能はPETやOPPなど、様々な材質でできているので、モノマテリアルではありません。
しかし、ここで例えばPETでその機能を各フィルム層でそれぞれ持たせるとどうでしょうか?PET/PET という構成であれば、同じPETなので、機能が違っていてもリサイクルの面で見ると同じ物質であるのでモノマテリアルになります。さらに考え方を進めて、OPP/CPPではどうでしょうか?OPPとCPPは延伸の有無はありますが、同じポリプロピレンです。これも同様にリサイクルの面で見ると同じ物質であるので、モノマテリアルになります。モノマテリアルであれば、燃焼して溶かすにしても単一のラインで処理することができるため、技術的にも工数的にもシンプルなものになります。
このように、すべてが同じでなくても、根本のとなる原理原則を崩さなければ、柔軟に今ある技術を少し改良させるだけで、モノマテリアルという考え方を進めることが可能になります。大きく変えるのではなく小さな変化が、リサイクルの分野では大切なのでしょうね。